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アーク溶接とシールドガス
Ⅱ.「シールドガス」を使うアーク溶接法

1.アークとは…?

 アークとはプラズマの一種で、気体が電離したものである。電離とは高温により原子から一部又は全部の電子が飛び出している状態になっている。電子が電離することをイオン化或いはプラズマ化などと言う。電離した電子が電荷を運ぶので、アーク及びプラズマは気体であるにもかかわらず、電気を通す伝導体である。アーク溶接のアークは気化した金属ではない。シールドガスがプラズマ状態になったものである。プラズマは不安定な状態で、大気の中では急速に冷えて普通の気体に戻ってしまうが、アークは電流が通ることで自ら発熱し、その熱でプラズマ状態を維持することが出来る。アーク溶接のアークは15,000度位の超高温になっており、鉄などは簡単に溶融してしまう。
 最初のアークは、最初に溶加材(溶接棒やワイヤ)が母材とスパークした瞬間に、その熱でシールドガスがイオン化することによって生じる。アークは電気を通すため、一度アークが生じるとアークを介して電気が流れるようになる。するとアーク自体が発熱し、周囲のシールドガスをイオン化する。アークはある段階まで成長すると一定の条件化で安定状態に入る。そのアークが溶加材や母材を溶融させていく。

2. アーク溶接には、どのような方法があるのでしょうか?


 アーク溶接には下表の方法が溶接市場で多く使用されています。特にアーク溶接法の中でガスシールドアーク溶接法が大半を占めているような状態です。


アーク溶接法
  シールド方法
溶融式 被覆アーク溶接法   フラックス(CaCO3
サブマージアーク溶接法   フラックス(CaCO3
ガスシールドアーク溶接法 CO2アーク溶接法 CO2
MAGアーク溶接法 混合ガス(Ar+CO2等)
MIGアーク溶接法 混合ガス(Ar+He等)
非溶融式 ガスシールドアーク溶接法 TIGアーク溶接法 Ar,He,混合ガス
プラズマアーク溶接法 Ar,He,混合ガス


2-1)被覆アーク溶接法

 金属の芯線の回りに有機物や無機物などで作られた被覆剤(フラックス)を塗って乾燥したものを溶接棒と呼び、その溶接棒と母材との間に電圧をかけてアークを発生させる方法である。

2-2)サブマージアーク溶接法

 連続したコイル状のワイヤの先端と母材との間にアークを発生させ、ワイヤの送給速度を自動的に調整しながら一定のアーク長さを保ちつつ、一方では粒状のフラックスを連続して供給し、アーク発生部を完全に覆い、大気を遮断して行う溶接法である。

*被覆アーク溶接法及びサブマージアーク溶接法のシールド性は、

 被覆アーク溶接法で使用される被覆棒に塗られている被覆剤(フラックス)或いはサブマージアーク溶接法で使用されるフラックスの中には石灰石(CaCO3:炭酸カルシウム)が含まれており、その石灰石(CaCO3:炭酸カルシウム)が高温のアーク熱で分解して炭酸ガス(CO2)となり、この炭酸ガス(CO2)がシールドガスの役目をしている。

2-3)ガスシールドアーク溶接法(溶融式):CO2・MAG・MIG

 CO2・Ar+CO2混合ガスなど、酸化性のシールドガス(アルミニュウム合金等のMIG溶接の場合は、Ar・He+Ar混合ガスの不活性ガス)をアークの周囲に送り、溶融部を大気から遮断しながら、溶接ワイヤ(実体ワイヤまたはフラックス入りワイヤ)をモーター駆動ローラーで連続して供給し、アーク長さを一定に保持しながら行う溶接方法である。

2-4)ガスシールドアーク溶接法(非溶融式):TIG・プラズマ

 Ar・He・Ar+He(Ar+H2)混合ガス等の雰囲気中でタングステン電極と母材との間にアークを発生させ、このアーク熱により母材を溶融させる溶接法である。等々の溶接方法がありますが、この中で被覆アーク溶接法とサブマージアーク溶接法はシールドガスを使用しないので今回は省きます。


3. シールドガスを使用するアーク溶接法には、どのような溶接法があるでしょうか?

溶 融 式(ガス・メタル・アーク溶接法=GMAW)
メタル・イナートガス

(MIG)

不活性 Ar ・He ・Ar+He
微酸化性 Ar+O2(2%以下) ・ Ar+CO2(5%以下)
メタル・アクティブガス

(MAG)

弱酸化性 Ar+20%CO2 ・ Ar+CO2+O2 ・Ar+CO2+He
中酸化性 Ar+CO2(30%以上)
炭酸ガス (MAG) 酸化性 CO2
非溶融式(ガス・タングステン・アーク溶接法=GTAW)
タングステン・イナートガス
     (TIG)
不活性 AR ・ He ・ Ar+He
還元性 Ar+H2 ・ Ar+H2+He
プラズマアーク
    (Plasma Arc)
  プラズマガス シールドガス
不活性 Ar ・ He ・ Ar+He
還元性 Ar+H2 ・ Ar+H2+He
1)GMAW (Gas Metal Arc Welding)
1-1) MIG (Metal Inert Gas)
1-2) MAG(Metal Active Gas)

2)GTAW(Gas Tungsten Arc Welding)

2-1) TIG(Tungsten Inert Gas)


* MIG溶接法とMAG溶接法の区別。

MIG溶接法とMAG溶接法の区別は、下表に示している通り、使用するシールドガスで決まります。但し、CO2アーク溶接法はMAG溶接法に含まれますが、日本国内ではCO2溶接法と単独に表示されています。
MIG溶接法とは 100%不活性ガス(Ar・He・Ar+He混合ガス)の場合。
・不活性ガス中の活性ガスの量が定められた量以下の場合(O2:2%以下、CO2:5%以下)。
MAG溶接法とは 不活性ガス中の活性ガスの量が定められた量以上の場合(O2:2%以上、CO2:5%以上)。

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