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技術情報
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| アーク溶接とシールドガス |
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1.シールドガスは、どのような働きをしているのでしょうか?
シールドガスはアーク溶接でどのような働きをしているのでしょうか?多分多くの方は「溶融金属・アーク等を大気(空気)から保護している」だけの働きしかご存じない方が多いと思います。それも大きな役割の一つですが、他にもシールドガスは役割を担っています。それは、アークを安定的に維持し、持続し続けさせることが出来るのは、このシールドガスがあるからです。よって、シールドガスはアークそのものの素材になるという重要な機能を担っています。
1-1) 溶融金属等を大気(空気)から保護
高温にさらされる溶融金属、アーク及び溶融しているワイヤを大気(空気)から遮断し、溶着金属および溶融部の酸化や窒化を防止する。アーク溶接で溶融している金属に大気(空気)が接すると、大量の窒素が金属中に溶け込む。溶融金属が凝固するときに、この窒素が一気に析出し泡となってそのまま金属中で固まってしまう。この状態をブローホールと言い、溶接部分の機械的強度が著しく低下する。代表的な溶接欠陥である。そのため、空気中でアーク溶接を行うには何らかの方法で空気とアークや溶融金属を遮断する必要があり、その遮断用としてシールドガスが用いられている。シールドガスとして、炭酸ガス・アルゴン及びアルゴンを主成分とし、それに副ガス(炭酸ガス・酸素・水素・ヘリウムなど)を添加した混合ガスが使われる。
| シールドガスがある場合 |
シールドガスがある場合 |
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1-2) アークを維持し、持続し続ける。
シールドガスは1-1)で述べた通り、溶融金属等を大気(空気)から保護する役割を担っているが、それ以上にアークそのものの素材になると言う重要な役割があります。「Ⅱ-1.アークとは…?」で、すでに述べていますが再度説明します。アークとはプラズマの一種で、シールドガスが電離したものである。電離とは高温により原子から一部または全部の電子が飛び出している状態になっている。電子が電離することをイオン化、あるいはプラズマ化などという。電離した電子が電荷を運ぶので、アーク及びプラズマは気体であるにもかかわらず、電気を通す伝導体である。よって、通電状態にあるプラズマをアークと呼ぶ。アーク溶接のアークは気化した金属ではない。シールドガスがプラズマ状態になったものである。プラズマは不安定な状態で、大気(空気)中では急速に冷えて普通の気体に戻ってしまうが、アークは電流が通ることで自ら発熱し、その熱でプラズマ状態を維持し続けることが出来る。アーク溶接のアークは15,000度くらいの超高温になっており、鉄などは簡単に溶融してしまう。最初のアークは、最初に溶加材(ワイヤまたは溶接棒)が母材とスパークした瞬間に、その熱でシールドガスがイオン化することによって生じる。アークは電気を通すため、一度アークが生じるとアークを介して電気が流れるようになる。するとアーク自体が発熱し、周囲のシールドガスをイオン化する。アークはある段階まで成長すると一定の条件下で安定状態に入る。そのアークが溶加材や母材を溶融させていく。シールドガスは溶融金属やアークを保護するとともに、アークそのもののベースである。従って、シールドガスの成分はアークの状態を大きく左右し、さらに溶接結果に大きく影響を与えるので選択を良く考える必要がある。
A.プラズマとは…?
物質は加熱され温度が高温になるにつれて、固体→液体→気体と状態が変化する。水では氷(固体)→水(液体)→水蒸気(気体)の例に見るように一般に知られた現象である。プラズマ状態とは下図に見るように、この気体(水蒸気)となった状態を加熱し、5千~7千度程度以上の高温にすることにより生じる状態である。このプラズマ状態では、気体が電離し原子がプラスイオンと電子に分離した状態になっている。普通のガス状態では、電流を流さないがこの電離した状態になると電流を流しやすくなる。但し、全体的に見れば、電気的には中性で静電気のような高い電圧状態とはならない。

B.プラズマの形成
シールドガスは、不活性ガス及び活性ガスを単独で使用する場合と、不活性ガスに活性ガスを混合して使用する場合があります。
| 1) |
不活性ガス(Ar,He)は、アーク熱により分子が原子核と電子に電離しプラズマとなります。 |

| 2) |
活性ガス(CO2,O2,H2)は、アーク熱により直ぐにプラズマにならず、まず分子を解離(熱的ピンチ効果)し原子の状態になってから、原子核と電子に電離しプラズマとなる。 |

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1-3) アークの安定と、アーク力の強弱(熱的ピンチ効果)
アーク中でシールドガスとして炭酸ガスなどの2原子分子(活性ガス)があると、それらが原子に解離するときに熱を奪う。また、アークを覆っているシールドガスによりアークが強制的に冷やされると、寒いときに身を縮めるのと同様にアークも熱損失を抑制する為その断面積を収縮しようとする、この現象が熱的ピンチ効果と呼ぶ。
・ CO2(解離)→ C + O2
・ O2(解離)→ O + O
単原子であるアルゴン(不活性ガス)をシールドガスとして使った場合、ボーッとした感じの広いアークになり、また、炭酸ガスでは不安定ながら比較的幅の狭いアークになるのも一つの要因としてこの熱的ピンチ効果の影響を受けているからである。このように活性ガスである炭酸ガスの濃度が、濃ければ濃いほどアーク密度が高くアーク力が強い。活性ガスの濃度が薄くなっていけば、アーク力も弱くなっていく。
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