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アーク溶接とシールドガス
Ⅳ.ワイヤの溶敵移行現象(MAG / MIG溶接の場合)

1.ワイヤの溶敵移行原理(電磁的ピンチ効果)

 溶接の作業性を左右する溶敵の移行に深く関係している。棒状の伝導体に電流が流れると中心に向かって電磁力(ピンチ力)が発生し、導体が溶けた状態の金属であれば、この力や内部の圧力差によって、変形や流体の移行が起こる。この現象が電磁的ピンチ効果と言う(図1)。溶接ワイヤ先端では溶敵を引きちぎる方向に力が働くので、上向き溶接で溶けたワイヤが上にある母材側へ移行すると言うことも可能になるわけである。もっとも、この電磁的ピンチ効果と相まって導体(溶敵)やアークの形状(アークの広がり)によって働き方が異なる。
 シールドガス中にアルゴンを多く含み、アーク幅が広いMAG・MIG溶接では常に溶敵を絞り込むようにピンチ力が働くのでスプレー移行になりやすい。炭酸ガス溶接ではアーク反力がピンチ力より強いため、溶敵にくびれがでるまでは引きちぎる力が小さく、大粒のいわゆるグロビュラー移行となる(図2)。このようにシールドガスはワイヤの溶敵移行現象にも大いに影響を与えている。


2.ワイヤの溶滴移行形態

 溶接ワイヤの先端が溶け、溶敵が母材上に移動する様子を移行状態という。この移行状態には、電圧・電流・シールドガス・溶接材の種類などによって著しく変化する。
ワイヤの溶敵移行形態 電流域
1)短絡(ショートアーク)移行 200A以下
2)遷移(グロビュールアーク)移行 200A以上
3)スプレー移行 CO2は不可。
  3-1)[ノンパルス溶接機]を使用した場合 300A以上
3-2)[パルス溶接機]を使用した場合 特に、スパッターの多い短絡及び
遷移移行領域で使用される。

上記電流域は、ワイヤサイズ1.2Φ、混合ガス20%CO2+Arを使用したときのものです。ワイヤサイズ・使用するシールドガス(活性ガスの比率)が変われば電流域も変わります。

2-1) 短絡(ショートアーク)移行形態 : 電流域~220A
 溶接電流が小さく、アーク長が短い状態。ワイヤ先端に垂下がった溶融金属は母材と短絡されます。この短絡接触時に大電流が流れピンチ効果が起き、これと母材の表面張力によって接触が破れてアークが再生します。薄板の溶接や立向き上向きなど全姿勢溶接に適します。

2-2) 遷移(グロビュールアーク)移行形態 : 電流域220A以上(20%CO2/Arの場合:220~300A)

 溶接電流が大きく、アーク長が長い状態。アーク熱によって溶融した溶融金属は、重力のために表面張力に打ち勝って溶融池にほとんど短絡せず、比較的大きな球滴(ワイヤ径以上)となってアークの出ている空間を飛行して母材へ移行します。他の移行形態に比べてスパッタが多く発生しますが、最も多く使用されている電流域です。


2-3) スプレイ移行形態 : 300A~(20%CO2+Arの場合)
 熔接電流が大きく、かつアーク長が長い状態。電磁的ピンチ効果がワイヤの表面より大きくなり、溶融金属は小粒(ワイヤ径以下)となりワイヤ先端から離脱し高速で溶融池に突入します。このためスパッタの発生が少なくきれいなビード外観が得られます。


2-4) パルスアーク(スプレーアーク)
 パルスアークも一種のスプレーアークである。パルス溶接において、溶接ワイヤの材質や径、および使用するシールドガスによって適切なピーク電流・ピーク幅条件を設定することが必要である。使用するワイヤやシールドガスによってスパッター発生等、溶接結果は大きな影響を受けます。
特に、通常短絡アーク状態あるいは遷移移行状態でスパッターを嫌う領域でこのパルスアークが良く使われる。





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