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レーザーガス
Ⅵ.レーザガス

 レーザガスには、CO2レーザ発振器に使用される「発振器用ガス」と金属の加工に使用される「アシストガス」があります。レーザ発振器用ガスは、CO2レーザ発振器用のガスが大半を占めていますので、CO2レーザ発振器用ガスについて説明します。YAGレーザは固体の媒質を使用しますので発振器用ガスは使用しません。

発振器用ガス アシストガス(加工用ガス)
発振器の機種 CO2レーザ発振器 使用レーザ機種 金属の加工をする全機種
発振器用ガス 混合ガス
・He+N2+CO2
・He+N2+CO2+CO
・He+N2+CO2+H2
・He+N2+CO2+H2+Xe等
混合組成はレーザメーカーの指示に従う。
切断用ガス 酸化切断 ・酸素(O2)
無酸化切断 ・窒素(N2)
溶接 シールドガス ・アルゴン(Ar)
・ヘリウム(He)
・混合ガス
(Ar+He)


1.CO2発振器用レーザガスの役割
 CO2レーザ発振器用ガスは、CO2レーザ発振器の媒質として使用され、下記のような内容でレーザ光を作り出します。

1) レーザガスを低圧力(40~120Torr)で発振管に循環ポンプで高速に送り込みます。
2) 発振管の両極には放電回路が接続され、高電圧をこの電極に印加してグロー放電を発生させる。
3) その結果、グロー放電で生じた高速の電子が、N2分子を励起して高エネルギー準位に上げます。
4) この励起されたN2分子が、CO2分子に衝突してCO2分子にエネルギーを与えて励起させ、エネルギー準位を上げます。その際、N2はエネルギー準位が下がります。
5) 反転分布したCO2分子は共振器内で増幅されレーザ光を誘導放出します。
6) Heは冷却効果があり、ガスの温度上昇を抑止するとともに、レーザ発振に関係しない下位レベルの分子を衝突で基底状態に戻す作用をします。つまり、N2はCO2のエネルギー順位を上げ、Heは逆に安定状態に下げる役割をします。

下図は炭酸ガスレーザの発振原理で、10.6μmを放出するのにN2分子の力を借りている状態図です。




2.CO2レーザ発振器メーカーとCO2レーザ発振器用ガス
 下表は代表的なCO2レーザ発振器メーカーと、その発振器に使用されるレーザガスです。レーザガスの混合組成は発振器メーカーが決めており、混合精度(含む不純物)も厳しい範囲に決められております。それはレーザ光の出力に影響するからです。
 その他に多くの発振器メーカーがありますが、レーザガスの依頼があった場合、必ず混合組成を発振器メーカー或いは関係者に確認しなければならない。

発振装置メーカー CO2レーザ発振器用ガス(媒質)
松下産業・ファナック他 He+N2+CO2
三菱電機製 He+N2+CO2+CO
三菱電機製 He+N2+CO2+CO+H2
オプテカル・エンジニアリング製 He+N2+CO2+H2
  He+N2+CO2+H2+Xe(キセノン)


3.アシストガスの役割
 アシストガスは、レーザ加工機で金属の加工(切断、溶接)をする場合に使用されます。レーザの機種は金属材料が加工できる機種であればすべて使用できます。


1) 切断の場合
a) 酸化切断
・酸化切断とは: レーザ光で溶かした金属と酸素(O2)を酸化反応させて切断する方法。
・アシストガス: 酸素(O2)
・特徴:
1) アシストガスである酸素の供給圧力が低くてよい。
2) アシストガスである酸素を使用する量が少なくてすむ。
3) 切断速度が早いし、切断面精度が良い。
・用途:
1) 鉄(Fe)の切断が殆どで、ステンレスの切断でも使われる場合もある。

b) 無酸化切断
・無酸化切断: レーザ光で溶かした金属を窒素の圧力で吹き飛ばして切断する方法。
・アシストガス: 窒素(N2)
・特徴:
1) 切断面が酸化しないので、その金属のままの色である。
2) 窒素の供給圧力が酸素の倍以上必要である。
3) 窒素を使用する量が酸素に比し数倍多い。
・用途:
1) ステンレス鋼鈑
2) 表面処理鋼鈑
(酸素を使用すると表面処理剤が燃焼し、噴煙が多量に出、作業環境を悪くする。)
3)
(殆どが酸素を使用するが、切断面の酸化を嫌う場合に使用。)

2) 溶接の場合
・アシストガスの役割: 光で高温にさらされる溶融金属を大気(空気)から遮断し、溶融部の酸化や窒化を防止する。
・アシストガス: アルゴン(Ar)、アルゴン(Ar)+ヘリウム(He)混合ガス、ヘリウム(He)。
・アルゴンを使用した場合、光に与える影響:
 レーザ溶接の場合、熱源が高温の光であるのでアルゴンガスを使用した場合は、光の回りにプラズマが発生し、光の出力が低下し設定した出力が出ない状況になるので、混合ガス(アルゴン+ヘリウムの混合)か、単独にヘリウムガスを推奨されている。
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